フィールド日記

コバノタツナミ
シソ科
Scatellaria indica var.parvifolia

下の文は撮影した当日の文です。
シソバタツナミか?
シソ科
Scatellaria lacteviolaceaか?
2002年5月14日
愛媛県 岩城島




タツナミソウの仲間は種類を見極めるのが厄介だ。
花の付け根の曲がり具合や付きかた。
葉の様子や毛の生えぐあいなどが決め手になるのだが
花の色や見た感じがみんな似ている。

この花はどう見てもシソバタツナミだと思うのだが、
種類を見極めるための検索表によると
茎の毛が上向きとなっている。
ルーペで見ると毛は横にまっすぐに伸びているのだ。

はたと困ってしまった。
平凡社の「日本の野生植物」では、この時点で行き詰ってしまった。
研究者のK氏が標本を調べて
結論を後日知らせて下さるということになり、
今日は ?マークをつけた。
後日正解を報告したいと思う。


この後の文は15日に追加しました。


翌日K氏(神奈川県立生命の星・地球博物館 学芸員 勝山輝男)より
メールをいただきましたので転載します。

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シソバタツナミ?は結局のところコバノタツナミソウになってしまいそうです。
関東のものとずいぶんと雰囲気が異なりますが,葉が下方のものほど大きいこと
はありませんし,茎の毛は開出しているので,検索表ではどうしてもコバノタツ
ナミソウになってしまいます。
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勝山先生は標本を短時間に十分検討されて
結論としてのメールを送ってくださいました。

ほんとうに普段見慣れているコバノタツナミとは様子がずいぶん違います。
しかし1000キロも離れているところのものが
まったく同じ姿のほうが不気味な気がします。

同種であってもその個体に差があることや
地域に適応していろいろな表情があることは
すばらしいことだと思います。
5月15日記

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