フィールド日記

セツブンソウ
キンポウゲ科
Shibateranthis pinnatifida
(Eranthis pinnatifida)
2002年2月19日
栃木県 栃木市
山渓ポケット図鑑「春の花」574頁




スプリング・エフェメラル。エフェメラルとはフランス語が語源の"はかない恋"という意味だそうで、
早春のまだ明るい林の下で咲く春の妖精たちのような花たちのことを言う。
その中でも真っ先に咲くセツブンソウは、
貧弱といっていいほど弱々しくて小さいが、蘂(しべ)の繊細なデザインは美しい。
僕はスプリング・エフェメラル"春のはかない恋"という響きにぴったりの花だと思う。

今年もこの花を見たくてインターネットで調べて
栃木市からバスで小一時間ほどの星野というところへ行ってきた。
そこでは集落のはずれのウメ畑や栗畑の下に生えており
入り口に料金の徴収所があり「保護育成支援代」として300円支払うことになっていた。

散策路は木道と柵で作られており平日にもかかわらず多くの人が花を楽しんでる。
以前、山を歩いていて思いがけずに見つけた時のセツブンソウは
自分だけの秘密の宝のような気がして嬉しかったが、
その後また花の季節になって行ってみるともうなくなっていた。
それに比べ、ここのセツブンソウは星野の集落の人々が守っていて、
今では多くの人たちが気楽に見ることが出来るようにしてくれているわけで
なくなってしまうことはないだろう。
そう考えてみると観光地化するということも、
自生地に本来あるべき植物を残していくための一つの方法なのだろう。

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