フィールド日記

人工池の大掃除・その後の様子
トップページの文を転載しました。
12月12日の続きです。


2002年12月21日
東京都 渋谷区


土砂の上に見える小魚の死骸。

代々木公園を歩いていると
傾斜地に水を含んだ土砂が
まるで土砂崩れのように
2〜30メートルにわたり斜面を流れ下り
たくさん捨てられています。

よく見ると
死んだ小魚が見えます。



その真ん中にソメイヨシノの大木が倒れていました。



冬芽を見てみると
細枝もみな元気で
枯れて倒れたわけではなさそうです。


倒木の枝には蕾のついた冬芽がたくさんついている。

斜面に生えていた木の根もとに
水分を多量に含んだ残土をたくさん捨てたことで
根元の地盤が緩み木が倒れたようでした。

倒れた隣に生えているソメイヨシノも
根元に土砂が積まれ
幹が傾いてきていますので
きっとこの木も倒れてしまうことでしょう。


根元に土砂が積まれ傾いているソメイヨシノ

公園内の人工池の浚渫のことは
九日前の12月12日のフィールド日記に書きましたが
この土砂はこの浚渫のときのものです。

夏には水辺をあるいていると
たくさんのメダカなどの小魚や水鳥が見られた池が
その後12月16日には乾いたコンクリートむき出しの
洗ったプールの底のようになっていました。


12月16日撮影。乾いたコンクリートの底が見えた。

例年、
この時期に池の浚渫をしているようですが
残土はどこかに持ち去っていました。
ことしは残土処理代を惜しんだようで
公園内に捨て、
そのためにソメイヨシノの大木が倒れ
生き物たちのたくさんの死骸を見させられました。
この池の住人で生き残ったものは
土の中で冬眠中の亀と
飛んで避難していた鴨たちくらいなものでしょう。


また水がはられた池。

池にはもう水が張られています。

水鳥の足にくっついてきた
水草や水生植物の種、小魚の卵。
トンボなど昆虫が飛んできて生んだ卵。
たった一夏で
それらの自然のはぐくみで
ゆたかな生物層を見せていた池が
もう生き物がまったくいない
水溜りとなってしまったと思うと
なんだか涙が出てきてしまいました。

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