フィールド日記

羽田の鳥居


2002年10月10日
(トップページのコメントを転載しました)

小学生の頃
少年マガジンなどの
漫画雑誌を毎週楽しみに読んだ覚えがあります。

連載漫画で「紫電改のタカ」などはよく覚えていますが、
読み物のページも多く、
”しゃっくりが何年間もとまらない女性が英国にいた”とか
”飛行機が消息不明になる魔の海域がある”
とかの記事を今でもなぜか覚えています。

その中で
アメリカの進駐軍が羽田を拡張するために
神社をこわそうとしたら
関係者がつぎつぎと事故にあったり
原因不明の病気になったので
お祓いをして祠(ほこら)を作って鳥居を残した
というような記事があったのを覚えています。

今日多摩川の川沿いを河口方面にくだっていたら
その鳥居を見かけました。



”平和”とも書いてあります。



これは昔、羽田穴守町にあった穴守稲荷神社の鳥居で
旧羽田空港の旅客ターミナルビル前の駐車場の一画に
そのまま残されたものでした。

そして新空港ができる平成11年に
旧住民の声で川のそばに移したということで
鳥居のいわれの石碑がありました。

それによると
昭和20年9月21日口頭で
48時間以内の立ち退きを命じられて
羽田穴守町、羽田鈴木町、羽田江戸見町の
住民すべて(1200世帯、3000人ほど)が追い出され、
目の前で家がブルトーザーにつぶされ
空港が拡張されたとのことでした。
そして唯一形として残ったのが
この鳥居だけだったそうです。

旧住民がこのことを忘れないようにと
鳥居のそばにたてた石碑なのでした。

少年マガジンにあったたたりの話もきっと事実で
大勢の住民の悲しみを背負った
神様の怒りだったのかもしれませんね。

ところでその昔、
今日は東京オリンピックの開会式の日でしたね。
なぜだか懐かしー。


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