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お任せの旅(山梨小楢山)



場所:甲州、小楢山(コナラヤマ 1712.5m)方面

日時:04年9月18日〜19日

同行:植物写真家S、電気技師兼セミプロ植物写真家N、ビル設備営

      業マンで写真にはまったく無関心のIshi、 計3名

携帯:折りたたみ自転車、キャンプ道具一式

温泉:ほったらかしの湯

【前書】

初秋の連休である。今回のリーダーはNである。

先週の土日、上州方面での撮影が「不調」とかで、この連休「撮影中

心」であれば、との願いを聞く事にしたのだった。「良いけれど、撮

影はサブメインにしておくれ」と念押しはしたが・・・。

「撮影中心」とは、主に高山植物の花のある場所で、「ある覚悟」を

意味する。

2名は、時間を忘れる程に夢中で撮影するが、「待つ」身は辛いもの

である。

こちらも、時間を忘れる何かがあれば、「チャラ」であるが。

今まで、「山葡萄」の収穫、昼寝、焚き火(場所次第)、1人宴、お

しゃべり(誰かが居れば)で時間を過ごすが、いきなり「撮影」が始

まる場合に直ぐにできるのは「1人宴」位だ。

そんな訳で、「食」する事が多くなるのである。

因みに、Sは減量して胃袋が小さくなったのか大喰いはせず、Nは元

々食が細い。

但し、「酒」は無くなるか、誰かが「止めよう」と言うまで飲んでい

る。

だから後始末的食べ方となる訳で、「大食漢」は必然的に生まれた、

かなぁ。




移動の足は、3連休で「渋滞」が予想されるので、鉄道となった。

新宿9:07始発「ホリデー快速 ビューやまなし」を選択。

Nが乗る立川は、9:32停車、塩山11:00着である。まぁ、ち

ょうど良い、酔いで着く。

前夜発も色々案を出したが、深夜到着するので「街中キャンプ」をN

が拒んだのだった。

オレ的には早く「旅」に入れて、翌朝現地にいるので、1日が有効に

使えて良いとの思うのだが。

入線は8:47、全車2階建て車両、一部指定席、グリーン車ありと

記する。

東海道線&横須賀線にあって、以前に中央線ですれ違った車両だった。

今日は、小田原7:06発、新宿8:47着9700Eの転用。平日

は「おはようライナー新宿26号」である。

他の全車2階建て車両では、寝台車の特急サンライズ瀬戸・出雲、新

幹線のMaxがある。

しかし、この普通車両の座席は「きつめ」で、無理遣り2階建てにし

た感がある。

それほど普段が混むのか。元「特急車両」を使った「快速」は、ゆっ

たりした席なのである。




【1日目】

平日も休日も変わりなく早起きである。

身支度と朝食作り(太巻き寿司=海苔は炙り、具は厚焼き卵・梅干・

鮭そぼろ・ツナマヨネーズ)等を済ませて、7時半に出掛ける。

約2時間の移動だが、席は確保し、自転車も端に置きたい。

北野神社前で山の大先輩であるK氏に出合う。

いなせな祭り支度に笹竹を担いでいた。

「お囃子」との事で、はっぴに帯を締めた「正装」であった。


新宿駅には8時前に着いた。

自転車は他の乗客に迷惑になるので、先頭車両の端が集合場所である。

先客がいて前から2番目に陣取る。ホーム上は朝日が差し込み暑く、

早くも「ビール」タイムである。

暑いから、どうしようもない。Nの分も含め追加ビールも仕入れる。

そのNからケイタイが入る。便利である。座席も確保でき良い、酔い

である。

「席は確保したから安心して、冷えたビールと酒のアテを買う事」と

連絡する。とても便利だ。

「小宴」のつもりが、「中」に変わりつつある。朝ビールは効く。

定刻通り、標高400m位の塩山駅に着く。素早く自転車を組立「買

い出し」である。

駅の西側、5分ほど先に大きなスーパーがあった。

明日の朝までの3食分と酒、「重量と大きさ」が半端でない。

昼分まで買えば良かった。

直ぐにアテとなる「団子」「納豆」「枝豆」「豆腐」「豆モヤシ」、

その他「秋刀魚」「烏賊」「ほうとう」「きのこ類」「餅」「切り野

菜」、安かった「鍋焼きウドン」、水、焼酎、缶ビール、調味料、網

を仕入れる。

荷台があるのは私だけである。ダンボール箱に水物以外を詰める。蜜

柑箱一杯になる。

水物は他の2人に預ける。荷台にゴムバンドで固定したが、手製の

「輪行袋」を置き忘れた。

下り坂を走り、降りきった所で、運良くタクシーを拾う。

またもや、素早く折りたたみ2人分の荷をトランクへ、他を座席に積

み込む。

秋の3連休は「稼ぎ時」らしく、焼山峠までの長距離でもあり、相手

も「運が良かった」と見えた。

帰りの呼び出し電話連絡先も言う程に、熱心なドライバーであった。

最近、熟年登山者が多く、休日は長距離客(林道の終点とか峠まで)

で稼ぐとか。高度も稼ぐ。

今夜の「ねぐら場所」を探しながら走ってもらう。峠の手前で降りる。

傾斜も緩くなっていた。

焼山峠には、綺麗な水洗トイレが完備されおり、「水(沢の水で飲め

ませんと札がある)」もある。

テント場探しはNの得意技である。Sはケイタイの入る「上の方」を

探すが、良い場所なので諦める。

倒木集めとテント張りが終わると始まる。昼食兼宴である。まずは乾

杯である。

その場所は道路から外れた林の中で、ジャリ道の廃道である。水は洗

面所がある。

工事のダンプや車の音が聞こえるが、夜には少なくなるし、明日は日

曜で工事はしないだろう。

薪拾いとテント張りを素早く済ませ、まずは乾杯である。アテも素早

い。この旅は「素早い」らしい。

昼飯と宴が続き、出来上がる。18時頃にテントに入る。2人は、無

くなるまで続くらしいが。




【2日目】

3時頃に目覚める。寝過ぎた位だ。消えかかった焚き火を熾し、暖を

取るが寒気はない。

狭い林の空には、満点の星空で直ぐに判る「オリオン座」も輝く。

獣の気配を背中に感じる。遠くで鹿の鋭い鳴き声が響く。1人焚き火

を良い。

5時過ぎになると、夜が白始める。熾き火で湯を沸かし、ポットに詰

めモーニングコーヒーの準備する。

ぞろぞろ起き出した。残ったビールで、まずは起き抜けの乾杯。

探したけれども、ゴミ袋と思っていた食料袋に1本だけ残っていた。

見つけたら呑んでいたなぁ。

昨日のスーパーで、おおきな茸(=やまどりと書いてあった)を反対

したが、2人に押し切られ買い、煮たり焼いたりしたが、「美味い」

ほどでなく、黄色い汁でカレーウドン風になった。手も黄色くなる。

朝食は、正統「ほうとう」と焼き餅、コーヒーで仕上げ。ほとんど食

べ尽くした。これから登山するのに。

7時に登り始め、小楢山(1712.5m)には1時間ほどで着く。

峠が1536mなので、標高差180mくらいだが、アップダウンが

続く。





Sの肩に英語版JPSがあり、あと○.○km・10時方向とか、自

慢げに伝えてくれる。

しかし、何せ英語版なので、仕様を読み切れず、他の機能を生かし切

れていないのが難点だ。

頂上は展望が良いが、手前の「一杯水」は枯れている。

もう、腹が減るほどに、胃腸が良い。

「錫杖ケ原」で撮影が始まり、「ある覚悟」も始まる。

食料も酒もなく、昼寝するほど眠くなく、山の幸も判らない。まして、

おしゃべりする相手もいない。

東屋の土間で「焚き火」を始める。伐採した小枝が積まれてあるが、

いくらか湿っている。

縄文人風に石で丸く釜戸を作り、枝に点火を試みるが、紙が燃えるば

かりで期待できない。

諦めて枝が乾くのを待つ。背後に気配を感じて振り返ると、牧丘から

「単独登山者」がやって来た。


しめしめだ。おしゃべりで時間を潰そう。

60歳位のインテリ風オジサンで、気難しそうに見える。こちらを警

戒しないように「挨拶」し、「事情」と「他愛もない事」を話す。9

時を過ぎているが、朝飯前なのか、「弁当」を広げだした。参ったな

ぁ。

最も、「辛く」なってしまった。稲荷寿司にお握りとタッパァーに詰

まっている。

話ながら、目が弁当に向いている自分が情けない。

何時もさっさと下ってしまうのか、飯を食べると降りてしまった。そ

れとも視線を感じたのかなぁ。

点かない焚き火に、燃える物を探し出す。財布や定期入れから、名刺

や領収書のたぐいを燃やす。

諦めて消火して、今度は「早く撮影終えろよなぁ」と騒ぎ出す。もう

2時間近くも「覚悟」しているのだよ。

「ろくな植物ないなぁ」とか言うが、腰は上がらずにいる。「止めな

いと、・・・ぞ」と半ば強引に言う。

やっと峠に戻ると11時前だった。

今日の下界(牧丘)では、「マラソン大会」しているらしい。それで

朝から打ち上げ花火の音がしている。

下り道は時速50km位に速い。





コーナー手前や・側溝・段差・ジャリ、勿論対向車や追越車にも注意

がいる。

リムも摩擦熱で火傷する位に熱くなる。頻繁に休憩する。撮影が始ま

る時もあるので、要注意だ。






3人とも「空腹」を訴え始めた。コンビニとラーメン屋が角にある交

差点に着いた。

選ぶ事なく「ビール」があるラーメン屋に入る。

大ジョッキに醤油ラーメン、餃子セット(半ライス付)、お代わりの

瓶ビールを頼む。

2人から「半ライスを食べて欲しい」との申し入れを受け、半ライス

3杯となった。

満腹で満足し、日帰り温泉「ほったらかしの湯」に向かう。

社会人であるNの1人娘が「行って良かった。眺めが最高・・・。」

とか、期待できる感じがする。

丘の中腹とかで、山梨市駅からタクシーで向かう。登り坂は「ご遠慮」

する。

今度のドライバーは「牧丘」出身とかで、矢張り「饒舌」だった。稼

ぎがあって気分が良いのだろう。

宣伝をしていない「温泉」に向かう我々に、「何処で知ったか」と2

度訪ねられた。「とても混む」とも言う。

いやぁ、最高、絶景、それで500円、露天風呂が広く、数もあり、

混んでも気にならない。


設備には、その名の通り「ほったらかし」で、足場材で階段の構造体

としており、休憩場は壁がなく、今は心地よい風が入る。海の家気分

であるが、「冬はどうする」「どうなる」と同行者が気を揉む。

別館ができる位だから、「儲かっている」と思うが、冬の設備では

「ほったらかし」にされたくないが。

体重を測るが、最近測っておらず、増えているのか、減っているのか

不明である。2・3kgは変動する。

湯上がりのビールを大きな紙コップで買ってくる、2人に「呆れる」。

我が胃袋をしても、温泉で消化良くしても、半ライス3杯の差は大き

く、胃もたれで半分しか呑めない。

甲府盆地を見下ろしながら、あっと言う間に山梨市駅に着く。

置き忘れた「輪行袋」が痛く、駅前のコンビニにも「シート」らしき

物はなく、Sのアイデアでゴアの雨具上下を被せて、改札を通る。

OKだった。SとNは、缶ビールを仕込んで、「最後の宴」を始める。

まだ消化できず、350mL缶のまたもや半分しか呑めない。これで

は、家でも呑めないかも知れない。

以上



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‘五十路’を超えたおじさんたちの自転車山行ですが
Ishi氏の表現にはだいぶ誇張があるようです。

話半分でお読みくださいネ。

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